緑豊かな環境で気づいた、
空気との付き合い方。

東京からクルマでおよそ1時間半。植物や果実などを原料にオー・ド・ヴィと呼ばれる蒸留酒、そして同じく植物や果実をたっぷりと使ったジャムやシロップ、飲料にまつわるプロダクトなどを作る「mitosaya薬草園蒸留所」に辿り着く。房総半島の中央に位置する千葉県大多喜町の薬草園跡地を再生した蒸留所で、さまざまな植物や木々とともに暮らすのは蒸留家の江口宏志さんとイラストレーターの山本祐布子さんの家族だ。

手前が江口宏志さん、奥が山本祐布子さん。壁にかかるのは山本さん手作りのリースで、さまざまな植物が美しく紡がれている。

冬を迎えたばかりとはいえ、四季の移ろいとともにさまざまな植物に覆われる「mitosaya薬草園蒸留所」には濃密な植物の香りが漂う。植物特有の甘みを含んだ新鮮な空気が花をくすぐり、ここが都心から離れた地であることをあらためて教えてくれる。そんな環境に居を移すことから、江口さんと山本さんは都内の住まいで使っていた空気清浄機を友人に譲ってしまったと振り返る。しかしあらためて、「空気清浄機が必要だと思い始めていたんです」と山本さん。いま家族が暮らす住居棟には、江口さん、山本さん、二人の娘、さらに敷地内を自由に過ごす犬と猫2匹がいる。今回、そこにやってきたのはCOWAYの「AIRMEGA 300」だ。

「動物と暮らすようになって、彼らの毛が気になるようになりました。遊びに来る友人によってはアレルギー反応でくしゃみがでてしまって……なにか解決する方法を考えないといけないな、と思っていたんです」と彼女は言う。

左/曲線の階段の壁一面には江口さんお手製の本棚。下には犬のムギが丸まって寝ている。
猫は2匹いて、園内や室内を自由に行ったり来たり。人懐こくて誰にでも愛想良く接する。

一方で江口さんは、「そして花粉です」と言葉を繋ぐ。「自然に近い暮らしをしているので空気はきれいですが、思いもよらない反応が出てしまいました。僕の体質だと2月くらいからじわじわと症状が始まるので、今年はAIRMEGAの働きに期待します」と笑う。

家族が暮らす棟は、上階に住居、地階には作業場を置く。犬や猫はもちろん、スタッフも自由に出入りするため、家とはいえ、さまざまな場所を常に掃除し、誰が使っても気持ちのいい空間であるように心がけている。ふとした瞬間にさっと掃除をすることが習慣化し、目のつきにくい場所も含めて気を払うようになった。「目に見えない部分こそ大切」と山本さんが言うように、きれいな空気もまた、人々が心地よく過ごす空間に欠かせない。

左右両面のフィルターによるパワフルな洗浄力が自慢の「AIRMEGA 300」を操作する山本さん。ボタンや表示のシンプルさがいいと語る。

質実剛健でシンプル。家族で暮らす住まいの道具、そして江口さんが蒸留を行う作業棟に並ぶ他の家電や機器にもそうした印象がある。どのような基準で選ぶのかを聞くと、山本さんは「やはり削ぎ落とされたようなシンプルなデザインがいいというのは共通意識ですね」。江口さんは「あれもこれもといろいろなことができる道具よりも、これをする道具だというのがいいのかなと思っています」と言う。しかし、ただシンプルなだけでも物足りない。江口さんがいま醸造作業のひとつに使うのが、醤油や味噌、日本酒など伝統的に日本の発酵食品の仕込みに使われてきた、吉野杉の木桶だ。衛生面を保持しやすいことからステンレスばかりが好まれる道具類だが、それだけに収まらない道具も取り入れる。

「もちろん衛生であること、消毒洗浄ができることは大切です。でもここはやはりものづくりの場所であることも大切にしたい。無駄であるといって、すべてを省いてしまい無味乾燥なものになってしまうと、つまらない」

たとえば、かつて薬草園の研究作業を行っていたスペースでは、現在は充填作業や箱詰めなどの作業を行う。質感のあるモルタルの床が印象的だ。この床を塗料でコーティングした洗いやすい床にすることは可能だが、「それは働いている自分たちにとって豊かな空間だろうか?」と江口さんは疑問に思う。

「衛生面を守りながら、そこにある限られた選択肢から自分たちが最大限に気持ちよくいられる場所にしたい。楽しいとか美しいとか、感情に働くものを選びたいという気持ちがあるんです。それを考えること自体が楽しい行為でもあるんですよね」

常に清潔であることを心がけている、充填作業やラベル描きなどをする部屋には「AIRMEGA STORM mini」を設置。

空気中のダスト量や明るさを検知し、運転モードが自動で切り替わる。空気の状態を4色のLEDで表示。

「もちろん蒸留所として求められる衛生管理はしっかりやっているんです。でも自分たちの働く環境をより良くするために空気清浄機というのは盲点だったかもしれませんね。複数の人が働く場所の出入り口に空気清浄機を置いておけば、環境を良くすることを見える化することにもつながります。ちょっと僕たちの動きが激しくなったら、ブーンと働いてくるのは心強い印象もあります」

江口さんが光の変化で状況を教えてくれるところにかわいさを感じるというのが「AIRMEGA STORM mini」だ。状況に応じて気流を変えられるサーキュレーション機能を搭載しているので、理想的な空気をスピーディに循環してくれる。

「使い始めは真っ赤に光るんです。お、正直者がここにいるって感じで機械だけどキャラクターがあるというか(笑)。空気は目に見えないけれど、何も隠せない。その光が青くなると、きれいになったという実感が湧きます」

さまざまな植物や果実の芳しい味と香りを閉じ込めた「mitosaya」の美しい瓶。

左/園内の温室には、古くから薬草園が所蔵していた薬草の瓶が並ぶ。
右/最近設置したというミトサヤ・ボタニカル・ライブラリーは、なんと百葉箱の中に本棚を作ったもの。訪れた人は自由に借りることができる。

一方で山本さんは、食まわりのプロダクト開発に関わりながら、高い評価を受けているイラストレーションの仕事の時間も両立する。

「気分をリフレッシュさせるのに、やはり空気の存在は大きいのかなと思います。作業中に気分を変えるため、窓を開けて空気を入れ替えたり、ルームスプレーで気分をリフレッシュさせることが多いんです。気持ちよく気分転換するのは、そんな些細な目に見えないことが多いのかもしれません。それも、どれも無意識のうちに。なにかを感じているんでしょうね」

2017年に居を移し、2018年の開業からようやく5年目を迎える。春と秋に行われるオープンデーには多くの人が訪れ、彼らの作るオー・ド・ヴィ、そしてプロダクトの数々は着実にファンを増やしている。「もっと良くしたい」と、江口さんは語る。

「ここは自然の場所です。木が倒れるとか、日々なにかが起こります。時に僕たちには関与できないようなことも起こる。それでもひとつずつ、この場を良くしていきたい」

そんな彼らの生活に加わったCOWAYのプロダクト。目に見えないからこそ、そっと心地よい空気を届けていく。

写真・竹之内祐幸 文・山田泰巨