人が集う家で、

風通しのよい空気を届ける。

建築家、日高海渡さんの自宅にはさまざまな人が訪れる。祖母が所有していたヴィンテージマンションの一室を受け継ぎ、自らの設計でリノベーションした住まいだ。南にたくさんの窓をもつ横長の間取りは、寝室と水回りを除いてひと続きの空間に。キッチン、ダイニング、仕事場を兼ねたリビング、さまざまな国の布を敷き詰めた床座のプライベートな空間。ここに日高さんの建築を知るためにクライアントも親しい友人も訪れる。

日が差し込む心地よい自宅で仕事をすることも多いという日高海渡さん。

日高さんの仕事は建築家というには幅広い。設計とともに、それに付随するデザイン業務を幅広く手がけている。

「かつては空間とそこに求められる要素は1対1でした。けれどいまは、住宅にワークスペースや人が集える場所、オフィスにカフェ、美容室の手前に花屋と、複合的な機能が求められます。僕は企画やブランディングを含めて事業に携わること、そして自宅のようにくつろげるオープンな場の設計が求められることが多いのです。この家には空間を視察にくるクライアントも、食事を楽しみに来る友人もきます。誰かが誰かを誘って、気がつくといろいろな人がやってくる家になりました」

リビングと続く床座のプライベートな空間。コレクションしている布を敷き詰める。

そのように来客の多い暮らしのなかで、ここ最近は空気清浄機の必要性を感じていたという。COWAYからこの春新しく登場した「NOBLE」を使うことを決めたのは、「空気清浄の機能だけでなく、サーキュレーターのように空気を循環させる機能が欲しかったから」と日高さん。自宅にコンクリート打ち放しの部屋をつくってみたかったことから、リスクはあるものの断熱材を取り払ってしまったため「自分で設計したのですが……夏は暑くて冬は寒い」と苦笑する。「冷暖房の効きを良くするために空気の流れが必要でした。そして新型コロナ感染症の流行以降、空気に対して敏感な人が増えたこともあります。しっかりと空気が流れる空間にしたかったんです。家に入った瞬間に空気の流れを感じられることは心地いいですよね。そういう感覚を求めていました」

左/「NOBLE」は天面のパネルでも操作可能。パネルは使用時やモードに応じて立ち上がる。

右/リビングとダイニングで仕上げが異なるが、床そのものはフラット。「NOBLE」にはキャスターが付いているので部屋の移動も簡単。

日高さんは、「家の中に置くものにはひとつひとつこだわっていますが、こういった家電を選ぶのが一番難しいですよね」という。

「やはり部屋のなかでプロダクトがどう見えるかは気になります。建築に携わる人にはとくに共感してもらえると思うのですが、機械的な存在はなるべく目立たなくしたい。僕は時代と逆行して、ものを集めることが好きで、とくに我が家はアナログなものが多い。それらとのバランスは気になるところです。その意味でも『NOBLE』は直方体でエレメントが少なく、筐体そのもので空気を出す装置のように見えるのが気に入っています。スリットの表情が、建築における送風口のダクトカバーのようにも見えてきます。ミニマルなデザインのおかげで機械の感じがせず、パネルそのもののようにも見えます」

さらに大理石をイメージさせる表面は、シンプルながらもニュアンスのある表情だと注目。「わずかに粒子が練り込まれていますよね。だから樹脂のようなフラットな表情でなく、どこか建築を感じさせるのかもしれません」と日高さんはいう。

左/簡単に取り出せるフィルターは折りたたみ式となっており、4種類のフィルターの中から2つ選んで追加することができる。日高さんは「ダブル脱臭フィルター」と「ダストフィルター」をセレクトして装着。

右/専用アプリ「IoCare」では、空気の状態などを確認できる上に遠隔操作も可能。操作はとても簡単。「これまで気にしなかったのが不思議なくらい、温度や湿度など、部屋の状況がわかるのもうれしい」と日高さん。

可動式の天板にタッチパネルが備えられているが、操作はほとんどスマートフォンのアプリ「IoCare」で行うという。

「アプリで室内の温度や湿度もわかり、空気の状況が表示されるので部屋そのものをモニタリングできるのがいいですね。操作も簡単で、ほとんどアプリで済ませています。人がくるタイミングで、空気の状況がきれいになっているかが気になるようになりました。効果はなかなか視覚化されにくいので、アプリでそれを実感できるのが楽しいです。やはり稼働していると、空気が流れているのを実感できます」

 

また4面にフィルターを取り付ける「NOBLE」は2種類のカスタムフィルターを利用できる。日高さんが選んだのは、ひとつは来客が多く食事会も多いので「ダブル脱臭フィルター」。人の出入りで匂いも残るため、その前後は「ターボモード」を使って迅速に空気を清浄する。「今日の取材前にも昼食を作ったので、急いで清浄しました」と語る。もうひとつは「ダストフィルター」。布を集めているので、必然的にホコリが溜まりやすい。「床の仕上げもモルタルなので目立ってしまうんです。そうした気になっていたところをケアができるのがうれしいですね」

左/リビングの壁面には建築書を中心とする資料が棚いっぱいに並ぶ。奥に寝室と浴室などがある。

右/窓に面してソファを造作。シートのカバーは季節に応じて布を変えている。

ダイニングに面したキッチン。広い空間なので、友人たちと一緒に料理を楽しむことも。

「最初に空間に入ったときに、何が見えるかが大事なことかなと思っています」と日高さんはいう。そこでこの家は、まず人が集うダイニングテーブルが見える設計とした。こういったフレンドリーでオープンな感覚をもつ空間は、今後ますます求められるだろうと考えているという。

「食事をするテーブルがミーティングテーブルになることもあるし、使い方はそのときの状況やメンバーによっても意味が変わっていく時代になりました」

彼の考えるマルチな生活に、「NOBLE」はうってつけの存在だ。空気を360度、自在に操り、多様なフィルターとモードで生活のあらゆるシーンに寄り添い、柔軟に対応する。空気にひときわ敏感な時代だからこそ、そのためにできることを大切にしたい。日高さんを取り巻く友人、仕事仲間、そして未来のクライアント。彼らを空気でもてなす存在として、「NOBLE」は今日も元気に働く。

 

写真・竹之内祐幸 文・山田泰巨