鎌倉の小さなケーキ店に漂う、
心地よい空気と幸せなお菓子の香り。

鎌倉駅からバスで15分ほど。観光客のあふれる駅前とは雰囲気が変わり、街で暮らす人々の息づかいを感じられる住宅街に、ケーキ店『POMPON CAKES(ポンポンケークス)』と焼き菓子や製菓道具、アパレルなどを扱う店『POMPON PANTRY(ポンポンパントリー)』はある。海外の街角を思わせる店構えから広がるお菓子の匂いに、心が躍る。

左/ピンクの外観がひと際目を引く「POMPON PANTRY」。
右/外国の小さな町に古くからあるような雰囲気で、思わず中を覗きたくなる。

『POMPON CAKES』は、オーナーの立道嶺央さんが鎌倉の街中を自転車で巡ってケーキの移動販売をしていたことから始まった。当初、立道さんが販売していたケーキは菓子研究家の母が作ったものだった。彼が生まれる前からお菓子教室などをしていた母のレシピは現在も受け継がれ、厨房を甘い香りで満たしている。そもそもケーキ屋を始めたきっかけは、鎌倉の街を面白くしたいという思いからだと立道さんは話す。

「POMPON PANTRY」では量り売りのクッキーがずらり。持参した容器に入れて持ち帰ることができる。リサイクルできる缶も販売するなど、過剰な包装をしないことを心がけている。

「海外のように、街がもっと公共に開かれてほしいという思いがあるんです。それは難しいことを言いたいのではなくて、美味しいものが食べられたりだとか、音楽を聞くことができたりだとか……街の風景に生活の一部が溶け込むようなこと。そこで僕にできることは何かと考え、ケーキを売り歩き始めました。もともと母のお菓子作りのルーツがサンフランシスコにあり、僕もアメリカ西海岸の雰囲気が好きなこともあるんだと思います」

「POMPON PANTRY」に設置したピンクの「AIRMEGA150」。シンプルでありながら、ボタンのロゴや文字の表示が美しくデザインされている。見やすさや使いやすさなど機能面も無駄がない。

街の人々の日常であり、心地よい空気と優しさがある。そんな立道さんのお店に、COWAYの空気清浄機を置いてもらった。飲食スペースもあり生菓子を扱う『POMPON CAKES』にはアイボリーホワイト 、ピンクの外観がおしゃれな『POMPON PANTRY』には同じくピンクの「AIRMEGA 150」を設置。新型コロナウイルスの流行以降、温もりのある店内に雰囲気の合う手指消毒用ディスペンサーなどを選ぶことに苦労したと立道さんは振り返るが、「AIRMEGA 150」の研ぎ澄まされたデザインが好きだと続ける。「家具などは古いものが好きですが、新しい道具は機能的でシンプルなのがいい」。実際、店内に空気清浄機を置くことで、訪れた人に安心感を提供できているのではないかと言う。

木の温もりが感じられる店内の家具はアンティークも多い。「AIRMEGA150」はシンプルで、どんな空間にも溶け込む静謐な佇まい。

「AIRMEGA 150をはじめて見たときに、曲線ではなくしっかり角を出した直線的なデザインが気に入りました。それとインターフェースのデザイン、そして操作音が好きですね。音もデザインされている感じがします。意識されることなく空気をきれいにしてくれていて、静かだけど手をかざすと風の動きをパワフルに感じられる。頼もしい存在です」

コロナ禍になって、店の空調管理についても強く意識するようになった。しかし空気清浄機ひとつでも、店の雰囲気に合うものにしたいという思いがある。

「空気清浄機って、意外と存在感がありますよね。室内で家電が起動すると、機械が動き始めるのを感じます。AIRMEGA 150にはそれがなく、僕らの店のような環境でも静かで使いやすい。その自然な佇まいは、これからのスタンダードになっていくように感じました。一方で朝の始まりにスイッチを入れた時の優しい起動音が、なんとも言えず気に入っています。使い続けるうちに一日の始まりの合図になってきました」

左/ケーキのことを語りながら、地域のこと、家族のこと……身近な日常を心地よくしていきたいという思いが伝わる。
右/手前は人気の定番商品「レモンチーズクリームタルト」、奥は上品な風味の「サバラン」。

立道さんは自らが大切にする「日常」を守るため、コロナ禍でも営業形態を工夫し、ほとんど休業せずにお菓子を届けている。これまで以上に人々が安全性や安心感、そして信頼感を求めているのも感じる。

「正面から感染症対策をやっていますとアピールすると、店の雰囲気にそぐわない部分もあります。ですから、一つひとつ丁寧に対応していくことで応えてきました。POMPON CAKESのケーキは、いわゆる宝石のようなお菓子ではありません。ホームメイドの延長線上にあって、誰かの家に来たような店を作りたいという思いから始まりました。それに、僕らはケーキを通して社会を変えたいとも思っています。ケーキって柔らかくて優しくて、みんなが好きな幸せの象徴のようなところがありますよね。そんなメッセージを込めて、柔らかくて優しい社会に変えていけたらなと思っているんです」

ショーウィンドウの中にはどれも美味しそうな魅惑的なケーキがたくさん並ぶ。

休日には遠方から来る人も多いが、『POMPON CAKES』の平日は地元の客で賑わう。木曜から土曜までは開店時間も朝8時と早く、開店とともに近所に住むおじいさんがやってきて、一杯のコーヒーを飲んでいくのが日課だ。その風景は、この店がいかに街の人々に愛されているかを伝える。

「熱々のコーヒーをなみなみと入れて、その一杯から一日が始まる。この店を通して、良い一日にしてほしいという思いは開店当初からありました。店が街の灯火になってほしいと願っているんです。
僕は日常にしか興味がありません。そこに美味しいお菓子があればいい。なんてことのない家庭的なお菓子だけど、僕らにしか作ることのできないお菓子。そこから幸せが生まれてほしいと思っているんです」

その日常に、COWAYの空気清浄機もまた寄り添い続けていく。

写真・竹之内祐幸 文・山田泰巨